1月30日。
地方の大学に入ってから、家族と一緒に誕生日を過ごすということはなかった。
一人でいたということもあって、「誕生日」というものがただのイベントになり下がっていた。時折街で見かれるタイムセールのように、あったらのぞくがなくても別にどうってことなどない。
TOEICテストが実家の近くで行われるために実家に帰ることにした。
テストが行われるのは1月30日である。
久々に帰った街は何も変わっていなかった。受験勉強で使った部屋から眺める街の景色は時間が止まっていたかのように、そのままだった。
テストが明日に迫ってきても、特別なやる気がわいてこなかった。ただらだらと1日を過ごした。
母が会場まで送ってくれることになった。
その車の中で私はふと、母に聞いてみた。私は今日のいつ頃生まれたのかと。
「今頃ちゃうかなぁ。」
あいまいな返事をしながら、母は時計を見た。針は9時半を指していた。
1週間も予定日より早く陣痛が始まったらしい。病院側も予想していなかったので、夜勤明けの看護師を何人か捕まえて、出産の準備に取り掛かった。さらに私が双子ということもあり、私が母のお腹から出るとすぐに、みんな弟に取り掛かった。そんなあわただしさの中で私は生まれた。訳も分からず生まれた。
それから21年。私はそんな母の話をイヤホン越しに聞く人間になっていた。
ただ鼻がむずむずしていた。
冷たい冬の風の中に微かに春のにおいを感じる。
ずっしりとした重みを感じながら、しかし、心はどこか晴れていた。
今日は何かいいことがありそうだ。
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